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お味噌のコラム「味噌日和」

日本人の食卓に欠かす事のできないお味噌。
それは日本の歴史や言語にも深い影響を与えています。
ここでは、お味噌を歴史や科学、文学などのジャンルから理解していくお話を更新していきます。

みそ汁が高血圧予防の救世主!

栄養学の進歩とともに、これまでの“健康の常識”が間違いではないかという話題が注目されています。豆腐と味噌汁

いま「みそ汁が高血圧予防の救世主だ」という研究成果が発表されました。共立女子大学の上原誉志夫教授は、人間ドックを受信した男性330人の食習慣を5年間、聞き取り調査した結果“みそ汁の摂取が1日1~3杯なら血圧に悪影響を及ぼさない”と「習慣的味噌汁摂取が血管年齢に与える影響」と題した研究結果を15年に公表されています。
また、管理栄養士の岡田明子氏は「みそ汁の具でワカメに含まれるアルギン酸や、なめこに含まれるカリウムは血圧を下げる効果が期待される」と語っています。
1日3杯の“みそ汁”が健康に嬉しい“ごちそう”になるのは、現代の常識ですね。

豆腐と味噌汁

豆腐と味噌汁家計調査で一世帯あたりの豆腐の購入額が一番多いのは岩手県盛岡市だったそうです。
盛岡で豆腐がたくさん食べられるようになったのは、江戸時代に藩主が京都から豆腐職人を招いて豆腐文化を築いたとか、良質の地下水と大豆で貴重なたんぱく源として豆腐を作らせたとか諸説あります。
市内の湯殿山連正寺には「豆腐買地蔵尊」があり、毎年10月2日の豆腐の日には“豆腐祭”が開かれ感謝の法要が営まれます。
三度の食事には必ず“豆腐の味噌汁”が出され、子供の離乳食も豆腐をすりつぶして与えるほど豆腐好きのまちです。多くは木綿豆腐で1丁あたりが400gと大きめで、約60種類もの豆腐がスーパーに並びます。
江戸時代に書かれた「豆腐百珍」では、豆腐の味噌汁はなくおかず豆腐が主です。味噌汁といえば“豆腐”が一定の具ですが、健康食としても“味噌汁”が盛岡市のように三度の食事に出るのが理想ですね。

味噌汁の香りと「こく」を楽しむ“コツ”

味噌の三礎味噌は大豆と米などを発酵させた食品です。
麹や酵母などの微生物が材料を分解して発酵しますが、その時にいろいろな物質が生成されその一部に香りの成分ができます。香り成分は200種類あるといわれ、アルコール類、アルデヒド、エステル、炭化水素、有機酸の5グループに分けられ、こうした香り成分が加熱によって気体になりやすい成分から味噌汁の湯気とともに香り立ちます。
まず香りを楽しむには、味噌汁の沸騰直前や沸騰直後に火を止めるのがコツです。味噌汁はあまり沸騰させず、気体になるいろいろな香りを楽しみ、加熱によって糖分とたんぱく質の成分のアミノ酸が化学反応を起こし味をグッと強く感じさせる「こく」の味を作ります。
味噌汁の香りを楽しみ、旨みの「こく」を楽しむには、少しだけなら沸騰させるのも良いかも知れません。

味噌汁の定番「納豆汁」

味噌の三礎東北の冬の朝は、味噌汁の「納豆汁」の香りで目がさめます。江戸時代は朝食の定番の味噌汁が「納豆汁」だったと知り、ちょっと意外でした。この「納豆汁」に豆腐や季節ごとの青菜を入れたり、その地でとれる野菜や魚介などを数種組み合わせた味噌汁が主流だったそうです。
多くの具はおかずになり、そこから出る旨味がそのまま“出し汁”としての役割を果たしていたのです。 丁寧に味噌汁の出しとして鰹節や昆布を使いますが、煮干しでだしをとった時代もありました。具だくさんの味噌汁が戦後は1~2種類になり、その後「定食屋」がお店で味噌汁を出すようになり、経費節減から具を少なくし、家庭でも具の少ない味噌汁が定番になったともいわれています。 核家族や食の欧米化が進み、味噌汁も時代に合わせ変っていったかも知れませんが、味噌汁はなくてはならない“食の友”ですね。

江戸の味噌養生に学ぶ

味噌の三礎江戸の儒学者・貝原益軒の「養生訓」は、現代も健康指南書ですが、その書に「味噌の成分は体に優しく、胃腸の働きを補う」と書いています。益軒は、本草学者で元気で長生きする知恵と病気の予防について説いています。 平均寿命が60に満たない時代、85歳まで一本の虫歯もなく長生きしたのですから、説得ある実践書です。 もう一冊は、江戸前期の医師で植物の研究もしていた人見泌大で、その書「本朝食鑑」に味噌について、こう書いています。

  • 味噌は1日もなくてはならないもの。
  • 元気をつけて、血のめぐりを良くする。
  • 味噌は胃の中に入って、つかえをなくし、消化を良くし、閉塞をなくす。
  • 味噌は腹の中を広げ、血行を良くしてさまざまな毒を体の外に出す。
  • 味噌は貴賤を問わず朝夕に食べ、粗食の補助にしている。

と説き、生活習慣病に悩む現代人へのメッセージのように思えます。

「ねこまんま」派ですか

味噌の三礎「ねこまんま」―ご飯に味噌汁をかけていただく簡便な一品でちょっと赤貧に感じますが、これは大間違いなんです。
室町時代から戦国時代には、味噌はなくてはならない贅沢な食材で、特に「武家にては必ず飯わんに汁かけ候」といわれ、基本的に味噌汁はご飯にかけて食べたそうです。冷やご飯に味噌汁の残りを温めてかけたり、 水洗いをしたご飯を味噌汁に入れ葱や韮を入れた「おじや」風にしたり、理にかなった一食です。
キャットフードやドックフードがなかった時代、犬猫に与える簡単な餌として与えたこともあり、愛称として親しみをこめて「ねこまんま」と呼んだようです。 食欲がないとき、急ぎの究極のぶっかけご飯として、味噌汁をかけた「ねこまんま」は赤貧の食事ではなく“健康食”に思えます。
「ねこまんま」はクックパッドをご覧になると266品ものレシピがあるそうですから侮れませんね。今日も「ねこまんま」派です。

“おもてなし”のお味噌汁

味噌の三礎日本の“おもてなし”が世界共通の言葉になり、グローバルな場面で“おもてなし”が新しい価値づくりに貢献しています。
丸高蔵でもご来店のお客さまや観光客の方々に、店内であたたかいお味噌汁をめしあがっていただく“おもてなし”をしています。今では、味噌蔵や酒蔵での試飲はどこでも体験できますが、大型豪華客船が入港する横浜港で“お味噌汁”でおもてなしをして話題になっています。ウエルカム・ドリンクが、あたたかい“お味噌汁”でのお迎えです。
全長294m、9万900tの大型豪華客船クイーン・エリザベスが寄港した時、乗船客に“お味噌汁”が振る舞われました。「味噌汁は飲んだことはあるが香りが良く、とてもおいしい」「日本の親切さが心に残ります」と新しい“おもてなし”が大好評でした。
瀑買いや瀑花見も日本の魅力かも知れませんが、表も裏もない日本の伝統の味と香りのお味噌汁の“おもてなし”は、絶妙ですね。

「味噌」の「味噌」

味噌の三礎「味噌は不老長寿の薬」、「味噌は医者いらず」という諺がありますが、「味噌の味噌」という言葉をご存知でしょうか。
漢字で書くと「味噌の三礎」となります。この三つの礎とは、まずは「味礎」で味噌は調味料の基本という事で、次は「身礎」で健康を維持し命を養う大切な食材だという事です。 三つ目が「美礎」で美しさを保ち、老化を予防するという意味です。
そんな味噌の高い栄養効果を実感し、味噌を誉めるたくさんの諺を残しています。
一杯の味噌汁から始まる朝食から「味噌汁は朝の毒消し」といい、その一杯の味噌汁から「味噌汁一杯、三里の力」とたたえ三里歩いても味噌汁のおかげで疲れず力が出るとまでいっています。
「味噌の三礎」は、先人達が味噌の力を簡潔に表現した名言ですね。そんな味噌の力を現代の科学や栄養学が実証してくれています。

味噌汁で糖尿病予防
糖尿病学会で発表

「味噌汁に糖尿病予防の可能性がある」―と研究成果を日本糖尿病学会で発表したのは、山形大学医学部附属病院の研究グループです。 調査の方法は、山形県高畠町で集団検診をした40歳以上約1500人を対象に過去1ヶ月間の食事を調べ、血圧測定や採血を行ない、その結果、味噌汁を1日3杯以上飲んでいる男性は1日2杯以下の男性に比べて空腹時の血糖値が低いことがわかりました。
一日三杯 その理由は「アディポネクチン値」が糖尿病を予防する働きがあるからだそうです。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで脂肪の燃焼を促してインスリン感受性を高める働きがあり、1日3杯以上の味噌汁を飲むと血中アディポネクチン値が高くなるからです。
和の伝統食である“味噌汁”に、こんな優れた力があり“味なやつ”と愛しくなります。
一汁三菜は改めて健康づくりの原点なのですね。